金融記事ノウハウ:生命保険の記事の書き方
生命保険の記事作成で得られる報酬は、高い傾向にあります。複数の案件を受注できれば、収入を大きく増やすことも可能です。
しかし、その一方で生命保険の記事は、作成の難易度も高いため、深い知識や高度なスキルが求められます。
今回は、生命保険の記事を執筆するうえで、押さえておきたいポイントをご紹介します。
目次
生命保険の記事作成の難易度が高い主な理由
生命保険の記事では「被保険者」「解約返戻金」「告知」「契約者貸付」など、専門用語が何個も登場します。一般の方々にはなじみのない専門用語の一つひとつを、誰にでも理解できるように解説しなければなりません。
また、生命保険の種類は死亡保険や医療保険、がん保険など多岐にわたり、仕組みが複雑なものも多いため、それを誤りなくわかりやすく解説する必要もあります。
保険業法を始めとした法律で定められるルールにしたがう必要があることも、記事作成のハードルを高くする要因の1つです。
「必ず保険金を受け取れる」「絶対に損しない」といった断定的な表現はもちろんNG。加えて、商品のメリットばかりを強調し、デメリットを十分に説明しないような、読み手の誤解を招く説明・表現も避けなければなりません。
エンドクライアントが生命保険会社である場合、コンプライアンス・法務を担当する部署から厳しいチェックが入り、複数回の修正依頼がくることもあります。
生命保険の記事を書く際のポイント
難易度が高い傾向にある生命保険の記事作成を作成するうえで、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
ここでは、生命保険の記事を作成するとき、とくに意識したいポイントをご紹介します。
1.用語は正しく使う
生命保険の記事を書く際は、専門用語を正しく使い分けることが大切です。似たような言葉であっても意味が異なることも多いため、専門用語を正しく理解せずに生命保険の記事を書くと、読者に誤解を与えてしまいかねません。
なかでも「保険料・保険金・給付金」と「保障・補償・保証」の違いは、よく理解することが重要となります。
保険料・保険金・給付金
まず、生命保険の記事で絶対に間違えてはいけないのは「保険料」と「保険金」です。
保険料は、生命保険を契約している人が保険会社に支払うお金であるのに対し、保険金は保険会社から保険金受取人に支払われるお金です。
※契約者以外の人が保険料を支払うケースもあります。
また「保険金」と「給付金」も正しく使い分ける必要があります。
保険金は、死亡時や満期時などに保険会社から支払われることで契約が消滅するものです。
一方の給付金は、保険会社から支払われたあとも契約が継続し、支払い事由に該当する限り何度でも支払われるものです。入院給付金や手術給付金などがあります。
保障・補償・保証
「保障」「補償」「保証」は、どれも「ホショウ」と読みますが、それぞれの意味は以下のとおり異なります。
- 保障:現在や将来の状態が脅かされることのないよう保全すること
- 補償:実際に起こった損失について金銭で埋め合わせをすること
- 保証:間違いがないと約束し、人やモノに対し責任を持つこと
基本的に、生命保険の記事では「保障」を使います。亡くなったときの死亡保障や病気・けがをしたときの医療保障など、生命保険の解説に出てくるホショウの多くは保障とします。
一方「補償」を用いるのは、火災保険や自動車保険、地震保険などの損害保険に関する説明をするときです。
注意をしなければならないのは、医療保険やがん保険など、保険業法上の第三分野にあたる保険の記事を書くときです。
同じ医療保険やがん保険を解説する内容でも、エンドクライアントや商品の販売元などが生命保険会社であれば「保障」、損害保険会社の場合は「補償」と書き分けが必要になることがあります。
「保証」が用いられるのは、主に個人年金保険の「保証期間」を解説するときです。保証期間とは、年金の支払いが最低限保証される期間のことです。
2.信頼できる情報源を参照する
正しくない情報を記事に記載してしまうと、読者が判断や選択を間違えてしまう恐れがあります。また、メディアを運営する企業の信頼も損ねてしまいかねません。
そのため、生命保険の記事を執筆する際は、信頼性の高い出所の記述やデータを参照することが大切です。私が記事作成の際に参照することの多い出所の例は、以下のとおりです。
- 厚生労働省や金融庁、国税庁など官公庁のWebサイト
- 公益財団法人 生命保険文化センターのWebサイト・出版物
- 国立研究開発法人 国立がん研究センターのがん情報サービス
- 各生命保険会社の公式ホームページ・オウンドメディア
上記の他にも、保険代理店が運営するオウンドメディアを参考にすることがあります。しかし、正しくない情報が記載されていることもあるため、他の情報源も参照し、入念にファクトチェックをすることが大切です。
一方、個人が運営するブログの記事や、著者の主観が強く反映されているニュース記事などで積極的に情報を集めるのは避けた方がよいといえます。
3.主観的な表現やラフな表現などは避ける
生命保険の記事を書くときは、ライターの主観的な意見を書くのは避けた方がよいでしょう。たとえば「医療保険は必要ない」「学資保険はおすすめしない」などです。
また「世帯主は手厚い死亡保障に絶対に加入すべき」「がん保険は必須」といった必要以上に加入を促す文章も好ましくありません。
「保険料が安い」「この保険がお得」「この保険がおすすめ」などのラフな表現も避けた方が賢明です。私の経験上、生命保険会社や保険の代理店が運営するメディアの多くでは、こうした表現が禁止されています。
生命保険の必要性を判断するのは、あくまでも読み手側です。読者が生命保険の必要性を判断するために役立つ情報を、中立な視点で届けるという姿勢が大切です。
4.記事が「募集文書」にあたるかを確認する
募集文書とは、簡単にいえば「生命保険に加入しませんか?」と勧誘(募集といいます)をするときに使用する文書・資料のことです。
生命保険を募集するときに用いるパンフレットやチラシ、提案書などは募集文書にあたるため、生命保険会社の担当部署による審査に通ったものしか使用できません。
募集文書に該当する記事の作成はさらにハードルが高い
作成する記事が募集文書に該当する場合も、生命保険会社の担当部署による審査が入ります。記載内容に誤りがないか、読者を誤解させる表現はないかなどの視点で、原稿が一言一句 厳しくチェックされます。
募集文書にあたる記事を作成する際は、通常よりも執筆内容や表現などに気を配り、誤りや不適切な記載がないか入念に確認したうえで納品をしなければなりません。
また、クライアントがレギュレーションやマニュアルを準備している場合は、充分に目を通したうえで、記載内容にしたがって丁寧に作成することが大切です。
募集文書に該当するケースと確認方法
募集文書に該当する可能性があるのは、記事の掲載先が生命保険会社や保険代理店が運営するWebメディアであるときです。とくに、特定の保険商品を紹介する内容や、保険料の具体例が記事に記載される場合、募集文書に該当する可能性が高くなります。
ただし、生命保険の種類や保障内容など一般的な解説にとどまり、個別商品の紹介をしない場合であっても、エンドクライアントの意向で記事が募集文書に該当することもあります。
クライアントから、生命保険の記事作成を相談されたときは、担当する記事が募集文書にあたるかどうかをよく確認することが大切です。
すでに公開されている記事がある場合は、募集文書の番号(募文番号)の有無を確認するとよいでしょう。記事の下段あたりに、アルファベットや数字などの羅列があれば、作成する記事が募集文章にあたる可能性があります。
5.保険会社や保険代理店で働いている人の意見を参考にする
生命保険の記事を書く際、保険会社や保険代理店で実際に働いている友人・知人・親族に、現場での状況を質問してみるのも1つの方法です。
ヒアリングした実際の状況や経験談を参考にすることで、独自性があり、より読者にとって役に立つ記事になる可能性があります。
また、保険会社や保険代理店で働いている人をSNSで探してフォローし、その人の発信を追うのも1つの方法です。ただし「本名や顔を公開している」「暴言や誹謗中傷を発信していない」などを基準に、信頼できる人物を慎重に選ぶことが大切です。
他にも、生命保険の記事作成で注意すべき点はありますが、まだ執筆の経験が無い方は、ひとまず今回ご紹介したポイントを参考にしてみてください。
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