生成AIって何?初心者でも簡単にわかるガイド
昨今、生成AI(Generative AI)が私たちの生活やビジネスに革命を起こしています。ChatGPTやClaudeなどに代表される生成AIツールは、人間の生産性を一段階どころか何段階も飛躍させる可能性を秘めていると考えられているからです。本記事では、生成AIを使ったプロダクト制作に携わる筆者がこれから生成AIを使ってみたい方に向けて、仕組みやメリット・デメリットを紹介します。
目次
生成AIの世界へようこそ!
生成AIを活用したいと考えているのなら、まだまだ遅くはありません。なにしろ生成AIが注目され始めたのは2022年末あたり。これまで様々なアプリが発表されてはいるものの、キラーアプリは出てきていない状況だからです。まずは基本的な知識を身につけて正しい使い方をマスターしましょう。
そもそも生成AIって何?
「生成AI」は文章や画像、音楽、動画などを生み出すAI技術のことです。これまで熟練のスキルを持つクリエイターが作っていたコンテンツであっても、生成AIを使えばあっという間に作れてしまいます。ビジネス面での優秀なアシスタントとしても活用可能です。
たとえば、顧客からパーティの招待状が届いたとします。しかし、あなたは別の用事があって参加が難しい。。。こういうとき、相手に失礼のないように断るのは気を遣う作業です。そこで、生成AIを使って断りの文面を考えてもらいます。
「お客さんからパーティの招待状が届きました。相手に失礼のないように断りの文面を考えてください」
すると生成AIが回答してくれます。以下は実際にChatGPTに回答してもらった内容です。
○○様
このたびは、素敵なパーティーへのご招待をいただき、誠にありがとうございます。ご丁寧なご案内を頂きましたこと、心より感謝申し上げます。 しかしながら、誠に残念ではございますが、当日は既に先約がございまして、参加が叶いません。せっかくのお誘いをお断りする形となり、大変心苦しく存じます。 次回の機会がございましたら、ぜひとも参加させていただきたく存じますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 改めて、このたびのご招待に感謝申し上げますとともに、パーティーのご成功をお祈り申し上げます。 敬具、 |
丁寧な返信としてはほぼ完璧ではないでしょうか。このように、生成AIはビジネス面においても非常に強力なツールとなるのです。
生成AIの仕組みを簡単に解説
では、生成AIがどのように動いているのかを簡単に解説しましょう。仕組みを理解するには「学習」と「生成」の2つを知ることが大切です。
まず学習。生成AIは「ディープラーニング」と呼ばれる技術を使っています。ディープラーニングは、大量のデータをAIモデルに入力し、データパターンを学習させる手法です。
たとえば、文章を生成するAIの場合は大量のテキストデータを入力して、データに含まれる文法、語彙、文章構造を学習します。画像生成AIの場合はテキストデータではなく画像データを学習させます。こうすることで、AIモデルは「パターン」を学習していくのです。
次に生成です。文章生成を例にとってみましょう。生成AIはまるで人間みたいに思考して、文章を生成しているように見えます。が、実はそうではありません。生成AIは次に来る単語や文を「予測」しているに過ぎないのです。
たとえば、「明日の天気は」という文があった場合、生成AIは何パターンもの候補を挙げます。
- 晴れです。
- 燃えています。
- 憂鬱です。
上記の候補では、1の「晴れです」が有力と言えるでしょう。実際には、もっと多くの候補から最適な文章を選択しています。
生成AIは前後の文脈なども理解して最適な単語を選択しているため、AIに指示するときはなるべく多くの情報を与えるのが良いとされています。
生成AIの到達点は?
ChatGPTを提供しているOpenAI社は、2024年7月の会議で現時点でのAIの進捗をレベルで定義づけました。
引用元:X
これによると、今はレベル1でもうすぐレベル2に到達するとのこと。これだけいろいろできるのに「まだレベル1なの?」と個人的には思ってしまいますが、人間のように思考して行動できるArtificial General Intelligence(人工汎用知能)にはまだまだ解決しなければいけない課題がたくさんあるのでしょう。
最終段階のレベル5になれば、組織運営をしてしまうというのですから恐ろしい話ですね。
生成AIのメリット
生成AIを使うメリットは、人間の生産性を大幅に改善してくれる点です。具体的には以下の3点が挙げられます。
- 無限に湧き出るアイディアの源泉になる
- 時間とコストを大幅カットできる
- 自分だけの相談役・パートナーが手に入る
無限に湧き出るアイディアの源泉になる
人間が考えられるアイディアには限界があります。もちろん、経験豊富な人なら多くのパターンを出せますが、それでもAIには勝てません。生成AIは膨大なデータを学習しているため、多角的な視点からアイディアを出せます。アイディア出しで100パターンを考えるのは何日もかかる仕事ですが、生成AIなら数十秒で終わってしまうでしょう。
時間とコストを大幅カットできる
生成AIは、様々なタスクを自動化することにも長けています。たとえば、企業の製品サポート窓口をAIに任せることで人件費の削減が期待できます。人間が24時間スタンバイしなくても、生成AIなら疲れることなく顧客からの質問に答えられるでしょう。また、ライティングやデザインなどのクリエイティブな分野でも、たたき台を作ってもらうことで制作時間を大幅に短縮できます。
自分だけの相談役・パートナーが手に入る
一人で悩んでいるときに、生成AIに質問すると有効なアドバイスを受けられます。あなたがマーケティング担当で、ビジネスプランの策定をしたい場合、市場データから何が読み取れるのかを聞いたり、さらに最適な戦略の提案を求めたりすることも可能です。私の場合は、作りたいモジュールに合わせてサンプルプログラムを提案してもらうといった使い方をよくしています。
生成AIのデメリット
便利な生成AIですが、気をつけないといけないこともあります。以下の3点です。
- データの流出リスクがある
- 生成AIが正しい情報をくれるとは限らない
- 使い方を誤ると著作権違反になるケースも
データの流出リスクがある
生成AIは多くの文脈を与えれば、回答制度が高まります。しかし、企業秘密や個人情報などを事前知識として与えてしまうと、学習データとして利用されてしまい情報流出の原因になるリスクがあります。現在、多くの企業がこの問題に直面しており、自社情報を生成AIに与えず活用する方法を模索中です。一部のサービスではユーザーからの入力データを再学習に使わないことを規約に明記しているものもあるので、利用する際にはしっかりと確認したいところです。
生成AIが正しい情報をくれるとは限らない
すでに説明したように、文章生成AIはあくまで確率的に最適な単語を選び出しているに過ぎません。そのため、中には幻覚(ハルシネーション)と呼ばれる嘘が混ざってしまう可能性があります。生成AIの言葉を鵜呑みにして仕事をすると、間違った情報を発信してしまうことになりかねません。かならず自分でチェックするクセをつけるようにしましょう。
使い方を誤ると著作権違反になるケースも
生成AIは便利すぎるがゆえに、間違った使い方をしてしまうと著作権違反になるケースがあります。たとえば、「ニュース記事をリライトした記事をブログに転載する」「人気のイラストレーターの画像を元に似たようなイラストを生成してSNSで公開する」といった使い方は訴えられる危険性があります。
まとめ
生成AIは、人類がインターネットを発明したのと同等のインパクトを産みだしたといわれています。その便利さから多くの人が使い始めていますが、一部では間違った使われ方をしているのも事実です。初心者の方には、正しい知識を持って正しい使い方をマスターしてほしいと思います。そうすれば、これから登場する様々なAIツールを使いこなせることができるでしょう。
タグ一覧