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【連載3回目】“役に立つ”編集者・ディレクターになるコツ【取材編】

取材 編集者

WEB上に多くの情報が溢れかえる昨今、企業のサービスやそこに勤務するワーカー、一般の生活者などを取材したさまざまな記事が日夜生み出されています。

こうした取材記事の制作現場において、「編集者・ディレクター」はどのような役割を担っているのでしょうか。「この人たちって結局のところ何をしているの?」「ぶっちゃけ、いる価値あるの?」なんて思われているかも?

この連載は、そんな疑問に真正面からお答えするために生まれました。といっても、まだまだペーペーのWEB編集者の戯言です。ぜひ薄目で読んでいただけたら嬉しいです!

連載第3回目は、いよいよ記事制作の要となる「取材」当日についてです。対面、オンライン問わず、取材現場で必要な編集者・ディレクターの立ち回りについて紹介していきます。

バックナンバーはこちらから!
【連載1回目】取材記事の編集者・ディレクターって何してるの?働いてるの?いる価値あるの?
【連載2回目】“役に立つ”編集者・ディレクターになるコツ【企画、事前準備編】

金指 歩
株式会社となりの編プロ 代表取締役/編集者・ライター

慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、大手信託銀行に4年半勤務。その後、不動産関連会社、証券会社、ITベンチャーを経て、2017年12月よりライターとして、2020年頃より編集者として活動。2023年12月に法人化。主に金融・ビジネス・人材系のコンテンツ制作に携わっている。

取材当日、編集者・ディレクターは何をしている?

いよいよ取材当日。ここまでしっかりと準備してきたのなら、当日のやることと言ったら「楽しむ!」しかないのではないでしょうか。

ちなみに、取材までの準備については、こちらの記事をご確認くださいね。

【連載1回目】取材記事の編集者・ディレクターって何してるの?働いてるの?いる価値あるの?

とはいえ「いやいや仕事なんだからちゃんとやってくれよ」という声も聞こえてきそうです。では取材当日の編集者・ディレクターの役割について説明していきましょう。

重視しているのは「空気づくり」

私が個人的にもっとも重要だと思っているのは「取材のしやすい空気をつくること」です。

取材は、取材対象者と取材ライターさんが初めて会い、短時間のうちに必要かつなるべく深い内容をうかがう場、だと思っています。そう、初対面なんです、だいたいの場合。だから基本は、他人行儀な雰囲気から始まるわけですよね。

取材のしやすさだけを考えると、取材対象者や取材ライターさんは場慣れしている方が好ましいですが、作りたいコンテンツの内容を踏まえると、必ずしも話上手な方が登場するべきだとは限りません。

例えば、新卒・中途入社者向けの採用コンテンツを制作する場合、普段社内でも口数が少ないような一般社員さんに話を聞くことがあります。でも、その社員さんにしか話せないことがあるから、その方がアサインされているわけです。そこから話を引き出すのが、私たちの仕事です。

もちろん取材ライターさんも自分でアイスブレイクを始めたり、特に周囲を気にせずマイペースに取材を始めたりすると思いますが、なるべくその場をあたためて、話をしやすい空気感をつくる役割は、編集者・ディレクターが担うとよいのではないでしょうか。

その際、前段でお話しした「楽しむこと」が重要だと思うのです。取材の場において、カチコチに緊張している人や、なぜか不機嫌そうな人がいたら「こいつどうした?」と思うじゃないですか。本人はそんなつもりがなくても、周りからはそう見えているかもしれません。だから、その場を楽しむのがいいんじゃないかなと思います。

かといって不自然に明るいのもおかしいですから、「普段よりも少しテンションを上げ、オープンな雰囲気でコミュニケーションをとる」くらいがよいのかなと感じています。

取材の概要を説明する

現場に人が揃い、名刺交換や自己紹介などが終わったら、これから始める取材の概要を説明します。

事前に送った質問票などに記載してあるものの、当日までに確認できなかった人もいますし、何か齟齬があるとよくありません。だから必ず、案件の「前提」を皆で共有するようにしています。

また、執筆の参考にするために録音させていただくことなど、取材中の注意点も共有します(たまに無言で録音を始める人を見るとぎょっとします。だめじゃない?)。

こうして取材される側・する側の準備が整ったところで、取材ライターさんにバトンタッチして、取材を進めてもらいましょう。

撮影の様子を確認する

対面取材の場合、撮影を入れることが多いと思います。私は撮影技術がないのですべてカメラマンさんにお任せしていますが、どんな写真を撮ってほしいのかを事前にお伝えし、撮影中も撮れた画像をなるべく確認させてもらうようにしています。

一番避けたいのは「必要な画像が撮れていなくて再撮影になる」ということです。天候が悪くて再撮影になるなら、天気のせいにできます。それでも面倒だと思いますが。でもただ単純にディレクション不足で撮れていなかったというのは、何としても避けたいところです。

カメラマンさんの邪魔にならないタイミングでちょろっと確認させてもらうこと、ほしい画像を失礼のないようにお願いすることが大事かなと思います。

取材の「取れ高」を確認する

取材中、基本的にはライターさんに取材をお任せしているのですが、できるだけ内容を聞いておくようにしています。これも撮影と同じで、記事に必要な内容を聞けていなかったら困るからです。

そして必要な内容が取れていない場合は、タイミングを見て横から質問するか、取材の最後にまとめて聞くようにしています。

取材ならではの要注意ポイントは、「いかにも聞こえはよいけれど、実は中身を伴っていない話」を聞き分けることだと思っています。聞いているときは「すごーい!」と感じるんですが、執筆してみると「これって同じことを何度も言い換えているだけじゃない?」「いいことを言っているけれど、その根拠が薄くない?」などの疑問が生まれることも……。

取材中のライターさんはとにかく時間内に話を聞ききることを優先していると思うので、こういう「もうちょっと深く聞いたほうがよいかも」ということは、同席している編集者・ディレクターが気づいてフォローしたいところです。

あと個人的には、取材先の事業概要や専門領域など、公式サイトから拾える内容についても質問して、「どこを書いてほしいと思っているのか」を確認するようにしています。どんな記事でも公開されればPRになるので、取材対象者の意向をなるべく反映するべきだと思うからです。時間がないときは割愛して、原稿確認時に見てもらうようにしています。

タイムマネジメントも重要なタスク

忘れてはいけないのが、進行管理と時間管理です。限られた時間のなかでいかに話を聞き、必要な画像を撮影し、気持ちよくその場を締めて、取材先に「今日は取材に来てもらってよかったな」と思ってもらえるかどうかは、かなり重要だと思います。

とはいえ、何らかのトラブルがあって取材開始が遅れたり、取材を終える時間がその場で早まったり、取材対象者の方の話が永遠に途切れなかったりと、さまざまなことが起こり得るのが現場です。

オンラインのほうがトラブルが少ないイメージですが、最近立て続けに「取材対象者がZoomに入れない」事案が発生し、LINEや電話で取材して事なきを得ています。

もうこればっかりは、その場で適切だと思う行動をとるしかないと思います。合い言葉は「臨機応変」そして「沈着冷静」。どんなに準備をしていてもトラブルが起きるときは起きるんですよね〜。仕事って楽しいですね〜。

ちなみに私がもっとも焦ったのは、もともと30分しかなかった取材時間が当日その場で8分に短縮されたときです。撮影込みで20分で終えました。いや〜あのときは焦りましたねぇ。対応してくださった全員に頭が上がりません。

取材の責任者としてその場を楽しもう

今回は、取材現場での編集者・ディレクターの立ち回りについてお伝えしました。これはあくまで単独記事コンテンツの制作に関してなので、動画撮影や複数の記事制作などの現場では、やることがさらに増えると思います。

重要なのは、自分が「取材の責任者」だと自覚して行動できるか、かもしれません。誰もなんとかしてくれないのが現場です。特に困ったとき、自分でどうにかするしかないんですよね。

取材先に失礼のないように行動したり、クリエイターさんが仕事しやすいように配慮したりするのも、全部必要な仕事だと思います。「好印象を残せば次に繋がるかもしれない」という淡い期待を胸に、ぜひぜひ取材を楽しんでみてください!

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