Googleからもクライアントからも評価される投資記事を書く方法【後編】
前回の記事では、「検索エンジンとクライアントに評価される投資記事」の要素を以下のとおり定義しました。
- 各種法令に準拠し、正確な情報に基づいている
- E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が担保されている
- メディアの目的に合致している
- ユーザーの投資経験や知識レベルに適した難度で書かれている
この要素をふまえて、私が投資記事を書く際に意識しているポイントを5つ紹介します。
目次
評価される投資記事作成のポイントは5つ
1.法律に準拠したメディアで書く
逆説的ですが、各種法令に準拠した正確性の高い記事は、そもそも掲載先メディアのコンプラ意識が高くないと書けません。要は、ちゃんとしたメディアで書くこと。たとえば、私は仕事を受けるとき、以下のポイントをチェックします。
- メディアに運営者情報や運営目的が明記されているか
- 「投資判断は自己責任で」「記事の内容は正確性を保証するものではない」などの免責事項(ディスクレーマー)が明記されているか
- アフィリエイト広告がある場合、ステマ規制や景品表示法など各種法令、ガイドラインに基づいているか
- 個別の金融商品を推奨する記事がある場合、金融商品取引法など各種法令やルールに基づいているか
以前弁護士さんに相談した際、「投資記事はトラブルになる可能性があるが、記事内容が問題になるかどうかより、ディスクレーマーや各種法令に対処した文言があるかどうか(PR表記など)が問題になることが多い」と言われたことがあります。
だから、運営者情報やディスクレーマーの明記は必ず確認します。ただ、アフィリエイト広告や金融商品推奨時の法令については、個人で違法性を判断するのは難しいところ。ここはメディアの担当者に確認します。
アフィリエイトメディアだと、「金融商品を推奨する際のルールや、PR・リスク表記について、ライター側が注意すべき点を教えてください」とか。ちゃんとしたメディアなら、ガイドラインやレギュレーションを用意しているはずです。
2.信頼できる情報源を元に書く
基本的には、金融庁や財務省、国税庁など官公庁のサイトや、公益財団法人など社会的信用の高いサイトの情報を元に書きます。いわゆる、Googleが信憑性の高い情報源と認めているサイトですね。
とはいえ、金融商品やマーケット情報など、官公庁のサイトで手に入らない情報もあります。証券会社の株式取引手数料とか、オルカンやS&P500のチャートとか。こういう内容を記事に書くときは大元のサイトから情報収集します。
「いやいや、そんなの当たり前やん」ですよね。でも、当たり前のことを面倒くさがってやらない人も中にはいます。
以前、証券会社のIPO銘柄数や抽選方法の違いを調べ、比較する記事を作成したことがあります。そこで競合サイトを見ていると、そもそも抽選方法についてわかっていないのか、間違っている内容の記事が散見されました。「ネット証券 IPO比較」とググり、上位のまとめ記事を参考に書いたんだろうなと思います。
IPOの抽選方法について書くなら、まとめ記事ではなく、証券会社のHPで「募集等に係る株券等のお客様への配分に係る基本方針」を確認します(※こういうやつ)。面倒でも、一社ずつ調べて、原稿には参考にした情報源をすべてコメントで残す。こういう当たり前の作業を地道にこなすことが大事だと思います。
また、参考元の情報を記事内に流用する際は利用規約の確認が必須です。
官公庁のサイトはルールに沿えば原則自由に利用できるものがほとんど。ただ、官公庁とはいえ、中には第三者(国以外の者)が著作権やその他の権利を有しているコンテンツも。
情報源の利用規約も要チェックです。地道に確認。確認。確認の繰り返しです。
3.自ら投資経験を積む
Googleが投資記事を評価する指標「E-E-A-T」では、書き手の経験や専門性が重視されます。この経験や専門性を付ける方法として手っ取り早い方法が、自ら投資経験を積むことです。
私の場合、子どもの未成年口座も含めて複数のネット証券口座を保有し、実際にそれぞれ活用しています。たとえばSBI証券では先物・オプション投資、マネックス証券では米国株投資、楽天証券ではインデックス投信の積立投資など。少額でも実際に投資することで得られる情報や知見があり、証券会社ごとの違いもわかるのでおすすめです。
証券会社の総合口座を開設すると、各社専用の銘柄・企業分析ツールやアプリ、マーケット情報など限定コンテンツを使用・閲覧できるようになります。情報収集ツールとしても優れているので、主要な証券会社の口座は一通り持っておくと便利です。
4.投資家の経験を取材・情報収集する
投資の世界は奥深く、自分1人の投資経験や勉強では限界があります。そもそも、1人だと使える投資資金には限界がありますし。そこで、以下のようなプチ取材や情報収集をしています。
- 各種SNSで投資に関する口コミを検索する
- SNSで投資アカウントを作り、複数の投資家とやり取りする
- メディアのターゲットユーザー(初心者投資家、デイトレーダーなど)に近しい友人や知人の話を聞く
- 投資アプリのレビューを調べる
ポイントは、ググらないこと。Google検索で出てくる投資記事は良くも悪くもSEOに特化していて、似たような情報が多くなっています。だから、あえて違う場所で投資家のリアルな声を集めます。
上記の情報は、信頼できる情報源として記事に明記することはできないかもしれません。
とはいえ、実際に投資している人の経験談は金融の専門書では得られない有用な知見です。一般の投資家の実態や心理を学ぶことは、ユーザーや検索意図の理解に役立つので、回り回って記事作成に役立つと思います。
5.メディアの特性や目的にあわせて書く
書く前にユーザー像を明確にして、クライアントのゴール設定を把握します。
ユーザー像の確認
ひと口に「投資初心者」といっても、いろんな初心者がいますよね。
- 新NISAの意味もよくわからない、まったくの投資未経験者
- ネットで調べて、最近インデックス投資(オルカンかS&P500)をはじめた初心者
同じ初心者でも、設定するユーザー像によって適したアプローチは異なります。
だから、私は「初心者向け」とか「中級者向け」とか言われても、さらにユーザー像の詳細を確認します。投資信託やファンド、リスクという用語の説明は必要なのか。専門用語はどこまで使ってOKなのか。
最初にしつこく聞いてユーザー像の解像度を上げておくと、クライアントが求める記事のイメージを掴みやすくなります。
ゴール設定
多くのメディアが投資記事を書く目的は、記事を通じてメディアに集客することだと思います。ただ、集客後のゴール設定はメディアによって違いますよね。
- 「ひとまず多くの人に記事を見てほしい」なら、ブランディング・認知度向上
- 「記事を読んだユーザーを広告先に遷移させたい」なら、広告クリック
- 「メルマガ会員を増やしたい」なら、メルマガ登録
- 「記事を読んだ人に投資の相談にきてほしい」なら、投資相談というCVの達成
このように、集客の先にあるゴールはさまざまです。クライアントが目指すゴールを意識して書くことは、クライアントから、ひいてはユーザーからも評価されるポイントになるはず。
これから投資記事を書く人は、参考にしてみてください。
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