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商業ライターが思う、SEOライティングの始め方

SEOライティングに関する情報や見解は星の数ほどあり、そのうえGoogleの検索技術は急速に進化しています。最近はGoogleが生成AIによる検索体験(SGE)を試験的に始め、SEOライティングは大きく変わる!なんて話も耳にします。

瞬く間に変化する環境で、今からSEOライティングにどう取り組むべきなのか。正直、私にも正解はわかりません。

一つだけ、商業ライターには確かな役割があります。それは一次情報に当たり、クライアントが求める記事を作ること。リアルな体験や取材を通じて確かな情報を選び取り、人間の感情を理解しようと努める人間だからこそ、こなせる役割だと思います。

本記事ではこの原則をふまえて、商業ライターにおけるSEOライティングの始め方を解説していきます。

服部ゆい
服部ゆい
ライター/ディレクター

2018年よりフリーライターとして活動中。 主に不動産・金融・ビジネス領域の取材・執筆・監修を行う

「SEOライティングの書き方」とググる前に知っておきたい要点2つ

SEOライティングは、ユーザーにもGoogleにも評価されるコンテンツを作り、検索結果の上位表示を目指すライティング手法です。ネットでググると数多の方法が出てきますが、まず、ググるのはいったんやめましょう。

その理由として、ググる前に知っておきたい要点を2つ解説します。

1.SEOの正解はググってもわからないし変わりがち

Googleの検索アルゴリズムは非公開で、神のみぞ知る状態です。また、Googleは年に数回、アルゴリズムとシステムに大規模な変更を加えてアップデートしています。ユーザー第一のコンテンツを作る基本理念は不変ですが、細かい対策は変わりがちです。

つまり、SEOライティングについてググって得られる情報は流動的です。ググってわかるのはその時点におけるSEOの解釈や方法論であり、正解ではありません。

2.SEOの解釈も方法論もクライアントによって違う

アルゴリズムが不透明なため、SEOライティングのベースにあるのは各サイトが集積してきた情報や知見です。当然、そこから導き出されるSEOの解釈や方法論はクライアントによって違います。

たとえば、タイトルや見出しへのキーワードの入れ方や文字数を細かく指定するクライアントもいれば、コンテンツの質重視で細かいルールを設けないクライアントもいます。

SEOライティングの方法はクライアントの数だけあり、どの方法がより良い形で検索結果に影響するのか、事前に知る術はありません。だったら、ググる前に目の前のクライアントが培ってきた情報や知見を参考にしたほうが効率的ですよね。

SEOライティングはどう始める?具体的な3ステップ

商業ライターの役割は一次情報に当たり、クライアントが求める記事を書くこと。この原則にしたがえば、書く前に踏むべきステップは以下の3つです。

  1. Googleの一次情報(公式見解)をチェックする
  2. Googleのいう「ユーザー第一で質の高いコンテンツ」を考える
  3. クライアントが持つ一次情報(SEOの知見や情報)を確認する

 

1.Googleの公式見解をチェックする

SEOライティングにおける一次情報とは、検索エンジン(Google)の公式資料です。まずはGoogleの公式見解をチェックしましょう。

【Googleの公式資料・チャンネル等】

※YouTubeチャンネルは英語のため、字幕を日本語表示にしてください

資料を読むと、Googleがいかに「ユーザー第一で質の高いコンテンツ」を重視しているかわかります。「Googleが掲げる10の事実」にもあるように、Googleの企業理念は当初から一貫してユーザーファースト。検索エンジンに向き合う前に、ユーザーに向き合うべきとしています。

2.Googleのいう「ユーザー第一で質の高いコンテンツ」を考える

では、ユーザー第一で質の高いコンテンツとは何でしょう。

Googleが「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」で記述している内容をまとめると、以下の点が重要だと考えられます。

  • ユーザー第一:ユーザーの検索意図や目的を満たし、有用で役立つ内容
  • 文章が読みやすく整理されている:長文は段落や章などに分け、全体を見通せるように見出しが付いている。見出し・タイトルがわかりやすい
  • 独自性がある:自身の知識や実体験、独自の情報に基づき、自分で作成している
  • 最新である:最新の情報に基づき書かれている
  • 信頼性が高い:根拠となる出典や著者、サイト情報が明記されている
  • 専門性がある:専門知識や豊富な経験を持つ情報発信者が書いている
  • 権威性がある:被リンクがある、オンラインでの評判が高い

ただし、上記はあくまで公式情報を私なりに解釈したもの。解釈は人それぞれなので、先ほどの公式情報を元に、ご自身で「ユーザー第一で質の高いコンテンツとは何か」を考えてみてください。

3.クライアントのSEO情報・知見を確認する

クライアントの持つSEOの情報や知見、それに基づく記事制作のルールを確認します。

これは簡単で、「SEOライティングは各社それぞれ見解があると思います。御社のライティングルールを教えてください」と聞くだけです。

さらにそこから掘り下げて、以下のような質問をしてみましょう。

<質問例>

  • この方法(ルール)を採用する理由は、やはり反響が良かったからでしょうか
  • 反響が良かった記事(検索流入が多い、コンバージョン率が高いなど)は?
  • 御社にとっての「ユーザーにとって質の高いコンテンツ」とは?
  • ユーザーの検索意図はどう分析していますか?マインドマップなど、使われているツールがあれば教えてください
  • ユーザーを集客した後にどのようなゴールを設定していますか?(資料請求や会員登録といったコンバージョンへの遷移なのか、それとも認知度向上やブランディングなのか)

質問を重ねてクライアントの事業やメディアの運営目的を深く理解することは、焦点を当てるべきユーザー像を浮き彫りにします。また、ゴール設定を明確にすれば、クライアントが求めている記事や記事の評価ポイントの解像度が上がります。

私の経験上、ユーザーとメディアに真摯に向き合うクライアントほど、こうした質問を喜び、多くの情報や知見を共有してくれました。翻って言えば、質問を面倒に思い答えてくれないクライアントの真剣度はそれまでだということ。

ユーザーにもライターにも真剣に向き合い、良いものを作ろうとするクライアントの元でSEOライティングを始めましょう。

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