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未経験ジャンルの執筆でエンドクライアントを唸らせる方法9個【調査編】

未経験ジャンルを任されたとき、「結果を出して自分の得意ジャンルにしたい」、「エンドクライアントを唸らせたい」と思うのであれば、それなりに努力が必要です。事前調査から納品までの段階ごとにポイントを押さえることで、未経験ジャンルでも高評価を得ることが可能です。

未経験ジャンルの執筆でエンドクライアントを唸らせる方法を9個ご紹介します。

加藤 良大
専門記事ライター/ディレクター

歴12年フリーライター。医療・美容・法律・不動産・IT・人事労務を中心に26,000本以上を執筆。Webライティング・ホワイトペーパー・電子書籍・Webサイトの記事コンテンツを中心に常時20社以上と契約。エンドクライアントである専門家からも高評価を得ている。

「エンドクライアントを唸らせる」とはどういうことか

エンドクライアントを唸らせたいといっても、記事に対する期待値や価値観は人それぞれのため、こうすれば唸らせられる!という基準はありません。下記のように考えましょう。

→どうすればエンドクライアントを唸らせられるのか?
→期待以上の品質の記事を執筆する
→期待以上の品質の記事って何?
→現場の人間でなければわからないことまで理解している、最新情報をもとにしている、内容が濃く、ターゲットのニーズをすべて満たしている、エンドクライアントが「ここまで詳しく書けるのか」と感じる情報を盛り込んでいるなど

もちろん、エンドクライアントの期待値によって、唸らせるための品質基準は異なります。胸の内がわからない以上は、現存する記事よりも高品質な記事を目指しましょう。

記事執筆の前段階である「調査編」と「執筆編」に分けて、未経験ジャンルの執筆でエンドクライアントを唸らせる方法を紹介します。

方法1:徹底的なリサーチ

未経験ジャンルでも、上位サイトを参考にすれば書けると思っている方もいるでしょう。確かに、それでも執筆は可能ですが、下記の理由によりエンドクライアントを唸らせるどころか低評価を受ける可能性があります。

【未経験ジャンルでクライアントから低評価を受ける理由】

  • 似通った記事になる
  • 具体性に欠ける
  • 読者が記事を読んでも具体的なイメージができない
  • 間違った情報を記載するリスクがある

未経験ジャンルに取り組む際は、1つ1つの用語の概要だけではなく全貌を理解することが必須です。
ここでは、法律ジャンルを例に挙げます。

たとえば、「相続 対策」の記事を執筆する場合、まずは上位記事を読み込みます。

そうすると、相続対策とはどのようなものなのか、どうすればいいのかが大体わかります。ただし、この段階では下記の問題が残ります。

【上位サイトの情報だけで作成した記事の問題点】

  • 上位サイトの情報が誤っている可能性がある
  • 何となく理解できただけのため薄い記事になる可能性がある
  • 関連する法律を理解していないために例外に言及できない可能性がある

上記を解消するためには、公的機関を中心とした参考サイトで追加リサーチする必要があります。

たとえば、相続対策の1つに「生前贈与」があります。「相続 対策」で上位表示されている記事には、生前贈与の全貌が記載されているわけではありません。生前贈与について理解するために、国税庁で「贈与」について調査し、そのうえで銀行や弁護士事務所などの生前贈与の記事を読み込みます。

本当は公的機関や学会、日本弁護士連合会などのみを参考にすべきですが、生前贈与という言葉は法的なものではなく解説がされていません。そのため、法的な部分は国税庁、そのほかはなるべく信頼性が高いサイトを参考にします。

また、書籍や論文なども参考になりますが、Webサイトと同じく法改正が反映されていなかったり、内容が間違えていたりするリスクがあることは常に念頭に置きましょう(他のジャンルも同じく)。

専門家にインタビューすることも方法の1つですが、これも書籍や論文、Webサイトなどと同様に、最新の知識ではない可能性があります。

ただし、「ガイドラインやサイトにはこう書いてあるけれど、現場ではこういう運用になっている」といった特殊な情報を得られる場合があるため、決して無駄なことではありません。

方法2:業界のトレンドを把握する

記事に最新情報やトレンドの情報を組み込むことで、エンドクライアントからの評価が高まる場合があります。業界のトレンドを把握するために、次のように調査しましょう。

【業界トレンドを調査する方法】

調査方法 説明
業界のニュースサイト 業界に特化したニュースサイトを定期的に確認し、最新の動向やトレンドを把握
業界イベントやセミナー ウェビナー、展示会などのイベントに参加して、最新の技術やトレンドについて学ぶ
ソーシャルメディアの活用 TwitterやLinkedInなどのソーシャルメディアでの業界の重要人物の発言をヒントに追加調査する(例:再生医療の〇〇が登場したとの情報を得る→その名称でGoogle検索するなど)
調査レポート 調査レポートには、業界の市場規模や動向などが掲載されている

方法3:事例の調査

記事が薄いと感じる原因の1つに、事例がないことがあげられます。たとえば、「3Dレーザースキャナーの導入によって現場の測量が効率化する」と伝えるだけでは、読者は下記のような疑問を感じるでしょう。

  • なぜ効率化できるのか
  • どのぐらい効率化できるのか

構成案に「事例」の項目を作らない場合でも、メリットに言及する際は根拠を示すために事例をあわせて記載することをおすすめします。

例文

3Dレーザースキャナーは、1秒間に数十万もの点群データを取得し、広範囲を短時間でスキャンできます。また、一般的に誤差が±2mm以下と、従来の手作業測量の±5mm以下よりも精度が高いため、施工時の手直しのリスクが軽減されます。

A建設会社は、3Dレーザースキャナーを導入し、手作業による測量では約3週間かかっていた約50,000平方メートルの敷地をわずか3日で測量しました。また、施工の手直しによるスケジュールの課題も解消されました。
出典:〇〇

上記は、メリットをひとまとめで解説する場合の例文です。小見出しで分ける場合も、それぞれに事例を入れた方がよいでしょう。

方法4:読者の特徴を捉える

「読者の特徴」というのは、次のようなことを指します。

  • 読者の属性(例:30~40代の皮膚科勤務医)
  • すぐに必要な情報を入手したいのか(急いでいるのか急いでいないのか)
  • 検索行動の履歴(過去にどのような情報を検索したか・関連するトピックで何を読んでいるか)
  • 何の情報がほしいのか(顕在ニーズ※1と潜在ニーズ※2)

他にも家族の有無や休日の過ごし方など色々な情報を想定し、ペルソナを作るべきとの考え方がありますが、私は基本的に上記だけを踏まえて作成し、必要に応じて他の情報をもとに文章を調整しています(エンドクライアントおよびクライアントが読者の属性しか設定していない場合)。

「エンドクライアントを唸らせる記事」は、「読者にとって有益な記事」です。ただし、エンドクライアントが「読者にとって有益な記事」を理解していなければ、そのような記事を納品しても高評価は得られません。そのため、読者の特徴を捉え、どのような理由でこの記事を作成したのかを納品時に伝えることも大切です。

たとえば、記事の中で「こう表現したけれどNGをもらうかもしれない。でも読者の特徴を踏まえるとこう書いた方がいいな」というところには、その旨をコメントして提出しましょう。

エンドクライアントは記事作成について全くの知識がないケースも少なくありません。間に入っているクライアントが良い記事の定義や記事の意図や補足を伝えてくれるとも限らないため、ライターがこういった細かな対応をしておくことが大切だと考えています。

※1 顕在ニーズとは、読者や顧客が自覚しているニーズや要求のこと。たとえば、「歯のホワイトニング方法を知りたい」「マウスピース矯正の費用を調べたい」という具体的な質問や課題。

※2 潜在ニーズとは、読者や顧客がまだ自覚していない、または明確に認識していないニーズのこと。情報提供によって顕在化する。たとえば、「インビザラインのメリットを知ることで矯正治療に興味を持つ」といったこと。

次回は、「執筆編」を紹介します!

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